
個人的な話になりますが、Surface PRO購入に合わせて使用し始めたOneNote for Windows 10をきっかけに、いままでと比べ何倍もメモを取るようになり、自宅や会社、外出先など様々シーンでメモを取る機会が増えました。
そして、メモを取るなかで、取り方と同様に、メモを取るための「ツール」の特性を理解することで、その機能を最大限に発揮できることがわかりました。
この記事では、それぞれの記憶媒体のメリットをデメリット、どういうシーンで効果を発揮するかを調べました。
対象の記憶媒体は、紙のメモ、OneNote(タッチ操作のノートアプリ)、グーグルスプレッドシートの3つです。
こんな人におすすめ
こんな方におすすめ
- メモを取るのに最適なアプリ・方法が知りたい
- メモやノートがいくつかのツールに点在してしまっている
- 運用しやすいメモ・ノートの取り方が知りたい
今、一口に「メモ」といっても様々な選択肢があります。
ただ重要なことは、それぞれのツールの「どれが優れているか」という観点で観るのではなく、「何が優れているか」という点に着目することで、各ツールの使い分け方法が見えてきます。
この記事では「何が優れているか」という観点で、それぞれのメリット・デメリットをまとめています。
ご自身のメモ選びに生かしていただければ幸いです!
メモツールのメリット・デメリットまとめ
最大の武器は手軽さと熱量!『紙のメモ』
紙のメモのメリット
紙のメモの最大の特徴はその「手軽さ」です。
うっかり地面に落としても壊れるようなことはもちろんなく、電源も不要、紙とペンさえあればどこでも手軽にメモをとれます。
そして、これは後で紹介する「OneNote」にも同じことが言えますが、「手で書く」ということはタイピングより遥かに創造的な作業に向いています。
その理由は「手で書く」ことで、脳幹網様体賦活系(もうようたいふかつけい)、またの名を、RAS(ラス)と呼ばれる脳の神経ネットワークを刺激されることによって、記憶力や観察力が向上する効果が得られるためです。
メモ
◆脳幹網様体賦活系(もうようたいふかつけい)
Reticular Activating System(RAS)とは、脳幹から大脳全体に向かう神経の束。
別名「注意の司令塔」と呼ばれており、その機能を分かりやすく説明すると、関心を寄せていることに対して情報を集めるのに鋭敏になる、というもの。
こうした「手で書く」ことの効果について、以下の記事で紹介していますので興味のある方はご一読いただければありがたいです!
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『アウトプット大全』要約 ~能力を引き出す3つの書き方編~
続きを見る
あと忘れてはいけなのが、コミュニケーションツールとしても紙のメモはほかのツールよりも優れた点があります。
これは2019年のメモについてのヒット作『メモの魔力』の中でも触れられています。以下本書の一部抜粋です。
少し想像してみてほしいのですが、例えば今、クライアントとの食事の最中だとします。
話が盛り上がってきたところで、相手がすかさずカバンからメモ帳を取り出して「ちょっとこの点、もう一歩踏み込んで説明していいですか」と書き始めたとします。
僕たちは、どう思うでしょうか。
PCやスマホで「ありもの」の資料を見せられるよりも、なんというか、心が近づく感じや、熱、ポジティブな空気が漂う感覚があると思います。
『メモの魔力』 P30 第一章 メモで日常をアイデアに変える より
また中には、会食中にスマホやタブレットの使用は無礼、と感じる方もいるかもしれません。
しかし、人の話を聞いている最中に紙のメモを取るとは何事だ!という方はそうそういないでしょう。
紙のメモはそういった「熱を持っている感覚」という点で優れたツールだと思います。
紙のメモのデメリット
デメリットは、紙とインクは経年劣化は避けられない、という点です。
どんなに大事に保管していても時間がたてば多少は必ず劣化します。
また、データのように名前をつけてすぐに検索することもできないことから、古いものほど振り返りが難しくなります。
あとは対面でしかほかの人と共有ができないところ。
したがってデータの分析結果の報告などを残すのはデジタルの方があらゆる面から優れているといえます。
紙のメモの評価
紙は手で書くという性質からアイデア創出に向いています。
しかし保存は不向きという特徴からメモに書いた内容のフィードバックに適していません。
そのため、紙のメモの使い方としては、外出時や仕事中の気付きを取りためておいて、後で紹介する「OneNote」に転記する、という運用がおすすめです。
項目 | 評価ポイント |
アイデア・発想力 | ◎ |
共同作業 | △ |
保存・振り返り | △ |
熱量 | ◎ |
読みやすさ・見通し | 〇 |
手軽さ | ◎ |
創造性と管理の両立!『OneNote』
OneNoteのメリット
OneNoteの魅力は紙と同様、「手で書く」という点にあります。
そして紙との大きな違いは、「テンプレートファイル」を作ることで、行う作業に合わせたメモを自分好みで作成することができるというところです。
僕の場合、メモ帳は「魔法のメモ」テンプレートを使い、ブログ記事の時は「ブログ作成用」テンプレートを使い分けています。
このテンプレートファイルを作成・設定することで、新しくノートを作成したとき、設定したテンプレートファイルの内容で新規ノートが作成されます。

「標語」→「ファクト」→「抽象化」→「転用」のメモ帳テンプレート。罫線の表示/非表示は自由に変えられます。

ブログ専用テンプレート。少しづつ改修を重ねていってます。
このように、OneNoteの魅力は作業に合わせたノートを自分で作成・改変していけるところにあるため、紙のメモより遥かに汎用性が高いです。
テンプレートは階層(フォルダのようなもの)別に設定できるため、ブログ階層・メモ帳階層にテンプレートを設定すれば、後はノートを新規作成するだけです。
また、紙のメモと比べ、管理が簡単で振り返り(フィードバック)が行いやすい点が挙げられます。
これはアウトプットについての知識・実践方法を紹介し40万部突破(2020年3月時点)した『アウトプット大全』でも触れらていますが、アウトプット(つまりノートに書くこと)での成長には「フィードバック」の実施が不可欠です。
フィードバックとは、アウトプットによって得られた結果を評価をし、その結果を考慮して、次のインプットに修正を加えるという作業です。
見直し、反省、改善、方向修正、微調整、原因究明。すべてフィードバックです。
~中略~
アウトプットをしてフィードバックをしないのは、トイレに行って水を流さないようなもの。
せっかくのアウトプットもやりっぱなしでは、成長につながらないのです。
『アウトプット大全』 P30 アウトプットの基本法則 より
OneNoteに書いた内容は先にも触れた「階層」で管理ができます。
この階層はパソコンの「フォルダ」と同じものだと思ってください。
「メモ帳階層」には日々のメモ、「ブログ階層」には記事作成の際の覚え書きを置いておけば、すぐ見つけることができます。もちろんノート名の検索も可能です。
あとは紙のメモでは書いた内容を削除するには消すか破るかしかできませんが、OneNoteでは文字を消すことはもちろん書いた文字の移動や色の変更もできます。
また、画像や音声データの挿入も可能です。
OneNoteのデメリット
デメリットとしては、PC・タッチペンはもちろん電源が必要です。
また、PC自体が重要な情報資産であることから、紙に比べ持ち運びには注意が必要です。
「共同作業」という点については、OneNoteにも可能ですが、共有相手もタッチ操作式のPCである必要があるので「得意」というほどではないと思います。
OneNoteの評価
OneNoteは振り返りに適していることに加え、紙と同様アイデア創出に向いているため、「メモの魔力」で描かれている、生産性向上のための使い方に向いています。
紙のメモに取りためたアイデアや気づきを家でじっくり発展させる、そんな使い方が理想だと思います。
項目 | 評価ポイント |
アイデア・発想力 | ◎ |
共同作業 | 〇 |
保存・振り返り | ◎ |
熱量 | 〇 |
読みやすさ・見通し | 〇 |
手軽さ | △ |
共同作業にもってこい!『Googleスプレッドシート』
Googleスプレッドシートのメリット
Googleスプレッドシートの魅力は何といってもその共有のしやすさです!
ユーザを直接指定してのその人とだけ共有することはもちろん、シートのURLリンクの設定を変更し、そのリンクにアクセスするだけで閲覧・編集をすることができます。
共有設定も多様で、「編集可能」「閲覧とコメントのみ」「閲覧のみ」と用途に合わせた設定が可能です。
また、共有相手に対して、特定の箇所の確認を促したいときは、指定の行で右クリックで開くメニューから「このセルへのリンクを取得」を選択すると、対象箇所のリンクを取得することができます。
また、スプレッドシートは「表計算ソフト」であることから、データの入力・計算やグラフ作成・データ分析に強い、というメリットがあります。
Googleスプレッドシートのデメリット
先にも紹介した通り表計算ソフトであることから、メモやノートとして使いには勝手が悪いです。
また、たとえPCがタッチ操作に対応していたとしてもキーボード入力しか受け付けません。
あくまで調査や分析、そしてその結果を共有するときその強みを発揮できます。
Googleスプレッドシートの評価
Googleスプレッドシートはアイデア創出には向いていないものの、共同作業における認識合わせ、データの確認には必要不可欠なツールです。
もちろん個人用の在庫や売り上げの管理表としても使用できます。
Googleスプレッドシートに記載した分析結果をもとに、成果を向上させるアイデアをOneNoteで考える。そんな使い方が理想なのではないかと思います。
項目 | 評価ポイント |
アイデア・発想力 | △ |
共同作業 | ◎ |
保存・振り返り | ◎ |
熱量 | 〇 |
読みやすさ・見通し | ◎ |
手軽さ | △ |
おわりに
ここまでそれぞれのツールの使いどころに紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
ここで紹介したもの以外にも記録するためのツールはたくさんあり、それぞれの特色があると思いますが、大切なのは、それを使う目的・状況をよく理解して賢く使うことだと思います。
ツールに振り回されるのは本末転倒なので、ご自身に合った、使いやすいツールを選ぶことが重要かと思います。
皆様が良きメモライフを送れることを願って。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。