
この記事ではシンセサイザーに搭載されている「特殊な機能」について紹介します。
シンセサイザーにはオシレーターやフィルターなど必須の機能とは別に、シンセサイザーならではのちょっと「特殊」な機能が多く存在します。
基本機能ほど音に強い影響は与えないものの、知っておくことで「作れる音の引き出し」が増え、楽曲にちょっとした癖をだすことも可能です。
こういった機能を理解して、楽曲の個性をより強調するテクニックを習得しましょう。
オシレーターの特殊な機能
リング・モジュレーター
「リング・モジュレーター」は多くのシンセサイザーが搭載している機能です。
シンセサイザーだけではなくギターエフェクターとしても有名ですね。
リング・モジュレーターはオシレーターを2つ使用して独特の音を出す機能からオシレーターセクションに用意されていることもあります。

Massiveのリング・モジュレーター
具体的にどういう仕組みかというと、入力される2つの音の周波数の「和」と「差」の非整数倍音を出力することで金属音のような独特のサウンドを出すことが可能です。
リング・モジュレーターは複数のオシレーターにかけたり、LFOで揺らぎを加えてやることでサウンドに大きな変化を与えることができます。
激しめのサウンドを作る際に重宝する機能となっています。
クロス・モジュレーション
リング・モジュレーターほど一般的ではないかもしれませんが、クロス・モジュレーターも同様に金属的な非整数倍音を作ることができます。
クロス・モジュレーターの仕組みは、片方のオシレーターでもう一方のオシレータをモジュレートすることで独特のサウンドを作り出します。
オシレーター・シンク
「オシレーター・シンク」を使用するとシンセサウンドに複雑で大きな変化を与えることができます。
オシレーター・シンクの仕組みは2つのオシレーターのうち、一つがマスター、もう一つがスレーブとなり、スレーブのオシレーターがマスターの音程に同期(シンク)させることで、複雑な倍音を備えた「シンクサウンド」を作り出すことができます。

Massiveのオシレーター・シンク
以下はMassiveのオシレーター・シンクを使用したサウンドです。
軽くLFOをかけて変化をかけることで、複雑なサウンドを作り出すことが可能です。
キー・フォロー
オシレーターの「キー・フォロー」はシンセサイザーの音階を機能させるためものです。
キー・フォローを有効にさせておくことで鍵盤での演奏ができます。
逆にキー・フォローを無効化させると、すべての鍵盤が同じ音になります。
中には1オクターブを1/2オクターブに調整できるものもあります。
キー・フォローをオフにして使うときは、キックや効果音など、音階が不要な音作りの際に使用します。
フィルターの特殊な機能
ポール数
「ポール数」とはフィルターの「単位」です。
フィルターは実際にはそれぞれの特性のフィルターが折り重なっているもので、このポール数が多ければフィルターの切れ味が向上します。
フィルターにLP〇〇などの記載があれば、これがポールの数を表します。
1ポールだとオクターブ当たり6dB減衰するフィルターです。
このポール数ですが、強ければいい、というわけではなく、微調整レベルの加工であればポール数の低いフィルターが適しているなど、用途に合ったものを選ぶといいでしょう。
キー・フォロー
フィルターにも「キー・フォロー」という機能が存在します。
以前の記事で紹介したように、フィルターは特定の周波数をカットする働きをします。
そうするとカットされた分音量も下がってしまいます。
その音量をコントロールしてくれるのがフィルターのキー・フォローになります。
終わりに
シンセサイザーの機能紹介については以上になります。
DAWではプラグインシンセサイザーは主流となり、それに伴い様々な機能が搭載されています。
ただ、基本となる機能はアナログシンセサイザーから大きくは変わらず、プラグインシンセに標準搭載されているものも多数あります。
こういった機能をよく理解・把握することで曲の幅、音の引き出しを増やしていきましょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。