書評

『具体と抽象』要約 ~抽象化で得られる2つの視点~

kamotani
『具体と抽象』の要約と、具体的な実用方法を紹介します!

今回紹介するのは、ビジネスコンサルタントである細谷巧(ほそやいさお)さん著、『具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ』です。

 

本書は2019年の大ヒットベストセラーである『メモの魔力』の著者である前田裕二さんが、『抽象化』についての理解を深めるための一冊として紹介し話題となりました。

 

その主な内容は、『抽象化とはどういったものか、どういう特徴を持ち、どんなメリットが生まれるか』という、抽象化に最大のスポットを当てたものになります。

 

「抽象化」と聞くとなんだかお堅い専門書のようなイメージが湧きますが、それに反してすごくわかりやすいしとっても勉強にになる一冊です!

 

誇張した表現はせず淡々とこちらの知識を広げてくれる、素晴らしい良書です。

 



 

『具体と抽象』がおすすめなのはこんな人

こんな方におすすめ

  • 発想力・理解力をもっと高めたい
  • 誰とでもコミュニケーションがとれるようになりたい
  • 自身を「要領が悪いほう」と感じる
  • 「要するにどういう意味」と言われることが多い

抽象化とは、ある事象の特徴を抽出し、全く別の他の事象に当てはめて共通点を抽出することです。

 

そう聞いただけでは、抽象化のメリットは中々伝わりずらいと思います。

 

しかし本書を読めば、抽象化が私たちの知的生産において、根底かつ最大の武器であることがわかります。

 

逆に抽象化を理解していないということは、実行するすべてのことにおいて無駄な時間と労力をかけてしまうことに直結します。

 

その特徴とメリットについて、要約という形で紹介していきたいと思います。

『具体と抽象』の特徴

『具体と抽象』を読めばわかること!
  • 具体的(わかりやすい) = 「いいこと」というわけじゃないよ
  • 抽象概念を意識的に活用できるといろいろ便利だよ
  • 抽象化 ⇔ 具体化の往復の思考が一番いいよ

『具体と抽象』とは、「具体 = 具体的」「抽象 = 抽象的」と、私たちが日常的に使う言葉のそのまま意味です。

 

皆さんは、この、「具体的」「抽象的」と聞いて、どんなイメージが浮かぶでしょうか?

 

多くの方は無意識に、「具体的 = 善」「抽象的 = 悪(悪とまでは言わずとも、あまりよくない状態)」というイメージが浮かぶのではないでしょうか。

 

それは、例えば仕事で「営業目標」を上司に問われた際に、「もっと具体的な道筋を立てなさい」などと言われたこと経験があるからかもしれません。

 

多くの場面で、「具体的」であることは「わかりやすい」ゆえに歓迎されているように感じます。

 

それでは「抽象的」ときくとどうでしょうか?

 

「具体的」と比べ「わかりにくい」というイメージを持つ方が多いと思います。

 

本書はそんな「抽象」の必要性&威力をこれでもか!と訴え、市民権を取り戻す内容となっています。

 

また本書は、全133ページとすっきりした書籍ながらその情報量と気づきの多さはすさまじい量です。

 

本来であれば本書の魅力を本記事で語りつくしたいと思い頑張ったのですが、とても記事1本では足りず・・・

 

なので、抽象化を理解するための基本と個人的にとても勉強になった・メリットだと感じた点を中心に紹介したいと思います。

 

本記事に掲載している内容以外にも素晴らしい点が本書には満載なので、続編もまた書きたいと思います!

具体的と抽象的の違いとは

「具体的」と「抽象的」の違いは「わかりやすい」「わかりにくい」といったイメージだけではありません。

 

そのほか様々な違いがあります。以下の表は本書で掲載されている「具体」と「抽象」の違いを表したものです。

 

具体 抽象
・直接目に見える

・「実体」と直結

・一つ一つ個別対応

・解釈の自由度が低い

・応用が利かない

・「実務家」の世界

・直接目に見えない

・「実体」とは一見乖離

・分類してまとめて対応

・解釈の自由度が広い

・応用が利く

・「学者」の世界

この違いを見て「抽象」がいかに有効化がわかります。

 

最大のポイントは、応用が利く」「分類してまとめて対応できるという点です。

 

それはどういう意味か、次の章で抽象化の方法とともに見ていきたいと思います。

抽象化の使い方を詳しく解説

前章で、抽象化とは、「まとめて同じに扱う」ことによって「応用が利く」ことがポイントであると紹介しました。

 

それがどういうことかは抽象化の方法を見ればわかります。

 

本書の中では抽象化について、「枝葉を切り捨てて幹を見ること」と表現されています。

 

なんだか難しいので図で表現しました。以下の図をご覧ください。

上の図の通り、抽象化とは、様々な特徴や属性を持つ現実の事象の中から、共通の特徴を抜き出してひとまとめに扱うということになります。

 

この観点を持つことで様々な恩恵を得ることができます。

 

具体的なメリットの中で特に役に立つと感じた2つ転用について紹介したいと思います。



抽象化で得る2つの転用

横関係の抽象化による転用

先述したとおり、複数の事象から共通の特徴を抽出する、いわばグループ化することが「抽象化」の方法です。

 

グループ化する最大のメリットは、1つの事象の学びを他の事柄に転用できる点です。

 

いわゆる「一を聞いて十を知る」、パターン認識の能力として活用することができます。

 

例えば、「プログラミング」と「ブログ」の特徴を抽出してみます。

 

一見全く違う特徴を持った両者ですが、一致する特徴も存在します。

 

例えばプログラミングであればソースコードを、ブログであれば文字を「書く」という特徴があります。

 

そして書き方にルール・決まりがある、といった点も抽出できる特徴ですね。

 

ここまで特徴が抽出できたら、転用できそうな点が見えてきますので、実際に転用できそうなところまで考えていきたいと思います。

 

WordPressでブログを書かれている方は馴染み深いと思いますが、WordPressは「テンプレートファイル」というものを使用しています。

 

ブログははじめとしたウェブサイトの多くは、ヘッダーやフッターなど全ページで共通の部分があります。

 

これらの共通部分をすべての画面で作成するのは明らかに手間だし、ちょっとデザイン変更したくなった時もすべてに手直しをする必要があります。

 

なのですべてに共通の部分を「テンプレートファイル」として作成し、各画面でその「テンプレートファイル」を呼び出すようにすれば、

 

作成する手間も省け、ウェブサイトに統一感を出すこともできます。

そしてこの「テンプレートファイル」は、ブログの投稿でも活用することができます。

 

例えば「書評」の記事の場合、内容は違えど各見出しは共通の内容が多いと思います。

 

その部分を「テンプレート化」すれば、構成を考える時間と労力を削減でき、なにより本の要約に集中することができます。

抽象化とはこのように、一見異なる事象の中から、目的に合った特徴を抽出して転用するときにその最大のメリットを発揮します。

 

これはいわば「横関係の抽象化による転用」といえます。

 

なので、自身が得意としていること、経験したことを抽象化する癖をつければそれだけ強みも増えます。

 

一般的に汎用性が高ければ高いほど、その威力も大きいといわれています。

縦関係の抽象化による転用

抽象化の特徴で、「まとめて同じと考える」というものがあります。

 

これがどういうものかというと、「言葉」と「数」に深い関係があります。

 

例えば「3」という数字。この「3」という数字は「犬」や「木」や「本」などといった、

 

性質もなにもかも違うはずの対象に、「3匹」「3本」「3冊」といった具合に同じ意味で使用することができます。

 

同じように「言葉」も「まとめて同じ」と考えることができ、それら同じ性質のものをまとめることでさらに広い範囲の転用が可能になります。

 

どういうことかというと、以下の図をご覧いただければわかるかと思います。

上の図で表しているように、マグロには色々種類があるけれど、「まとめてマグロ」と表したり、マグロやカツオを「まとめて魚」とグループ化することができます。

 

こうすることで、「魚は健康にいい」と魚全般に対してくくって表現できたり、「魚類」の研究を進めることができます。

 

また、抽象と具体は階層構造になっており、上位が持っている特徴は下位の階層がそのまま引き継ぐ、という法則があります。

 

この法則により、上位の特徴を生かした、「縦関係の抽象化による転用」が可能になります。

 

例えば「ブログ」は「文章」の下位事象になります。

 

いい文章の定義は様々ですが、ここでは仮に「起承転結が明確である」という特徴を見出したとします。

 

それをブログに当てはめて考えれば、「問題提起→解決方法提示→実際に解決する」というテンプレートの型が見えてくると思います。

 

このように抽象化には「横関係」だけではなく、「縦関係」からも特徴を抽出することが可能です。

『具体と抽象』の読了後にできること

1.『メモの魔力』のメモ術を実践する

抽象化を深く理解した後は、メモを使って徹底的に転用し行動に変えていきましょう!

 

SHOWROOM社長の前田祐二さんの著書である『メモの魔力』で紹介されているメモの取り方は、

 

メモと抽象化がセットになっているので本書で覚えた抽象化をそのままアクションにつなげることができます!

 

本書と『メモの魔力』はセットで読むと相互の理解が進むので是非お勧めです。

 

『メモの魔力』についても要約記事を紹介していますので興味のある方はご一読いただければ嬉しいです!

 

メモの魔力要約まとめ ~デジタルノートアプリとライフハックメモ術~

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2.関連書籍を読む

『具体と抽象』に面白さを感じた方は、著者の別作品の『「無理」の構造』もぜひおすすめです。

 

シンプルでかわいい漫画を入れつつも哲学的ともいえる切り口は本書同様爽快さすら感じます。

 

本書の内容

本書のキーメッセージは、「理不尽なのは〈世の中〉ではなく、私たちの〈頭の中〉である」。
努力が報われず、抵抗が無駄に終わるのはなぜか。
本書では、「世の中」と「頭の中」の関係を明らかにし、閉塞感や苛立ちの原因に迫ります。
本書のタイトル、〈「無理」の構造〉は、〈理(ことわり)なきことのしくみ〉です。

 

本書についての紹介は以上となります。

 

『抽象化』は中々日常的に使うのは難しい技術に感じますが、毎日に新しい視点を与えてくれる観点でもあります。

 

焦らず楽しみながら少しづつ身の回りの事象を抽象化していけたら今よりもっと素晴らしい日常に変えていけると思います。

 

ここまで読んでいただいてありがとうございました。




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