
この記事ではオシレーターで作れる波形の種類について詳しく紹介していきます!
以前、シンセサイザーの基本構成にてオシレーターは「音の元となる波形を発生させる装置」と紹介しました。
-
-
シンセサイザー入門② ~オシレーター・フィルター・アンプの役割とは~
続きを見る
この記事では、オシレーターで作ることのできる「基本波形」について紹介していきたいと思います!
また、なぜオシレーターで色々な種類の波形を作り出す必要があるかについても紹介します。
その理由は、シンセサイザーでの音作りの方式「減算方式」にあります。
詳しくは以下をどうぞ。
オシレーターで様々な波形が扱える理由
そもそもなぜオシレーターで作成できる波形に複数の種類があるのか。
その理由は、シンセサイザーにおいて音作りの方式である「減算方式」という手法にあります。
アナログシンセサイザーはその誕生当初、「加算合成」という音作りの方式が採用されていました。
この「加算合成」とはどういうものかというと、様々な音は複数のサイン波に分解することができる、という法則から、「サイン波を大量に組み合わせれば、どうな複雑な音も作り出すことができる」という考えに基づいた方式です。
この考え方は原理的には可能なものの、アナログの回路では不安定かつ大量のオシレーターを必要とするため、その分シンセサイザーも高価になります。
また、本物の楽器は、奏法や音域によって、そのニュアンスが変わります。
これを加算合成で表現するとなると、とてつもないレベルの計算と管理が必要になります。
そうしたデメリットの影響で、現在ではこの「加算合成」に代わって一般的に利用されているのが「減算方式」という方式です。
これは、比較的倍音の多い波形のオシレーターを用意し、そこから不要な倍音などをフィルターでカットして理想の音を作ろう、というものです。
この考え方によって、様々な波形がオシレーターで扱えるようになりました。
それぞれの波形の特徴と違い
先に紹介した通り、オシレーターではサイン波の他に倍音の多く含む波形を生成することができます。
この章ではよく使用される波形について紹介していきたいと思います。
オシレーターで主に扱る波形は、後でフィルターで加工することを考えて、倍音の多いシンプルな波形が多いですが、それぞれ特徴があります。
その種類は主に以下の6つとなっています。
以下は音のサンプルです。
すべて同じ音程ですがそれぞれ特色があることがよく分かります。
シンセサイザーでは、こういった波形を組み合わせて基本の音を作り、フィルターで余計な倍音をカットしつつ理想の音を作り出します。
・サイン波
・三角波
・ノコギリ波
・矩形波
ノコギリ波は多くの倍音を含み、幅広い楽器の音を表現するのに適しています。
ノコギリ波で作れない音は、変わった倍音成分を含む矩形波が適しています。
矩形波は木管楽器、クラリネット、木琴などが適しており、ファミコンなどのピコピコサウンドも矩形波です。
矩形波(方形派とも呼ばれる)は奇数倍音だけ含んだ波形で、電気的に発生するのが用意ということで昔からゲーム音楽などで親しまれている波形です。
初期のドラクエのBGMなどを連想される音をしています。
ちなみに上の図の矩形波とパルス波、形が似ていると思いますが、パルス幅の比率が50/50のものを「矩形波」、それ以外のものはすべて「パルス波」と呼ぶようになっています。
ノイズはドラムの音の表現に適している波形です。また、環境音の作成にもよく使用されています。
ノイズに関しては、オシレーターとは別に「ノイズ・ジェネレーター」と呼ばれる、オシレーターとは別機能として切り出されていることがありますが、
ノイズ・ジェネレーターもオシレーター同様に音の発生装置であり、フィルター・アンプに送られて出力されるという点からオシレーターの波形と同様に扱って差し支えないと思います。
最近のデジタルシンセ、プラグインシンセではこれらの波形を組み合わせたり、もっと複雑な倍音構成の波形を生成できるものもあります。
こういった波形にはそれぞれ音の特徴があるため、目的の音に近い波形を選び、音作りに生かしましょう。
終わりに
オシレーターで扱える波形の紹介は以上になります。
最近のシンセサイザーではここで紹介した波形以外にも様々な種類がありますが、基本的な考え方は同じです。
表現したい音に近い音の波形を選び、フィルターで調整する。
楽器特有の減衰などの時間経過による変化は、別途モジュレーション機能で調整する、といったところです。
波形の特徴の違いを理解しないままでは、音作りにおいて時間の浪費を発生しかねないので、しっかり意識して取り組んでいきましょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。